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第41章 第十五話　【静かなる月】　其の参

あなたはいつでも何かに飢えている―、まるで一生かかっても見つからない宝物を果てしなく探し続けるように見えるんです。私は、そんな生き方にはついてゆけないし、探しても見つからないものを探そうなんて、端から思わない。あなたは、けして手に入ろうとしないものを追い求めるのが好きなのね」
　つまり、それこそが、心の中に理由なき孤独を抱えていて、その孤独を埋める手段はないということなのだ。
「それに、伊勢次さんのこともあります」
　お彩は力なく首を振り、淋しげに微笑んだ。
「私の思い切りの悪さが、諦めのなさがあの男(ひと)を殺してしまったんです」
　市兵衛の視線が鋭さを増した。お彩の言葉一つ一つからその想いの真実を読み取ろうとするかのようだ。