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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第1章 第一話―其の壱―
 その日以来、お彩は父を避けるようになった。母が生きていた頃はあれほど父に懐き、何でも話していたのが段々と口数が少なくなり、ついには殆ど会話を交わすことさえなくなった。
 お彩は自分で自分の気持ちがよく判らないでいた。父のことを考えると、泣きたいような息苦しいような、何とも切ない気持ちになる。この想いを父に向かって直接ぶつけてみたい衝動に駆られるのに、肝心のこの気持ちが何なのか、一体何からくるのか判らない。
 行き場のない想いを持て余し、つい心とは相反する行動を取ってしまう。父の姿なぞ眼に入らぬかのように無視するか、さもなければ、父のちょっとした言葉にムキになり反抗的な態度を取ったりした。恐らく、父はなにゆえ、突如として娘がそのように変貌したのか理解できなかったに相違ない。
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