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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第44章 第十六話 【睡蓮】 弐
「これを貰っても良いかしら」
お彩が言うと、哲蔵と梅松は顔を見合わせた。
「ああ、構やしねえよ」
哲蔵が頷き、梅松もつられるように首を縦に振る。
「ありがとうございます」
お彩は二人に丁重に礼を言った。
二人が帰った後、お彩は板場の隅で、たった今梅松から貰ったばかりの瓦版を食い入るように読んだ。
そこには、かつて「氷の京屋」と呼ばれた江戸一番のやり手商人京屋市兵衛が大怪我を負ったと記されていた。瓦版によれば、市兵衛は深夜、手代頭と共に同業仲間の寄り合いから帰宅途中であったという。正確には寄り合いの後、吉原へ流れ、そこから店に戻る途中だったようだ。
お彩が言うと、哲蔵と梅松は顔を見合わせた。
「ああ、構やしねえよ」
哲蔵が頷き、梅松もつられるように首を縦に振る。
「ありがとうございます」
お彩は二人に丁重に礼を言った。
二人が帰った後、お彩は板場の隅で、たった今梅松から貰ったばかりの瓦版を食い入るように読んだ。
そこには、かつて「氷の京屋」と呼ばれた江戸一番のやり手商人京屋市兵衛が大怪我を負ったと記されていた。瓦版によれば、市兵衛は深夜、手代頭と共に同業仲間の寄り合いから帰宅途中であったという。正確には寄り合いの後、吉原へ流れ、そこから店に戻る途中だったようだ。