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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第6章 其の参
「だって、あなたが腕白坊主だったところなんて想像もつかないから」
 お彩が正直に応えると、男が笑い声を上げた。
「干からびた蛙を他所(よそ)の家に放り込んだりしたものさ」
「まあ」
 お彩は呆れて男を見つめた。
「子どものくせに、妙にませたガキだったから、ちょっと気になる年上の女の家には、しょっ中、やってたよ。今から思えば、とんでもなく子どもじみた所業だが、当時は、女の気を引きたい一心でしたんだろうな」
 男の笑いを含んだ声に、お彩は思わず微笑みがこぼれた。男の少年時代の様子を想像してみる。前垂れを締めて、唇をきりっと結んで淋しさをこらえている負けん気の強そうな一人の少年の姿が瞼に浮かんだ。
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