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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第9章 第四話 【ほたる草】 一
娘可愛さのあまりと喜六郎から聞いた話を半分にして聞くとしても、お彩は喜六郎の小巻の父親としての怒りややるせなさが行き過ぎたものとは思えなかった。偉兵衛と小巻の間はこの件でずっと諍いが絶えず、小巻は幾度も偉兵衛に遊廓通いはほどほどにして欲しいと頼んだが、偉兵偉の浮気癖は治まらなかった。
吉原の「三室や」という半籬(はんまがき)の振袖新造に喜久乃というあだな女がいて、その喜久乃に夢中だというのだ。この喜久乃が艶っぽい美女でいながら、女郎らしからぬ清楚さも備えていて、そこが偉兵衛にはたまらないらしい。
また、偉兵衛の不行状は、それだけにはとどまらなかった。吉原の女郎を相手だけならともかく、得意客の女房と出合茶屋から出てきたところを近隣の者が見かけたという噂も届いている。
吉原の「三室や」という半籬(はんまがき)の振袖新造に喜久乃というあだな女がいて、その喜久乃に夢中だというのだ。この喜久乃が艶っぽい美女でいながら、女郎らしからぬ清楚さも備えていて、そこが偉兵衛にはたまらないらしい。
また、偉兵衛の不行状は、それだけにはとどまらなかった。吉原の女郎を相手だけならともかく、得意客の女房と出合茶屋から出てきたところを近隣の者が見かけたという噂も届いている。