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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第9章 第四話 【ほたる草】 一
いわば、今日の騒動の種は以前から兆してはいたともいえる。が、小巻の変わり様はお彩も愕くべきものがあり、喜六郎の言うように、小巻が良い妻、嫁になろうとしているのは傍目にもよく判った。
もし偉兵衛が心底小巻に惚れていて大切に思うのならば、もっと長い眼で小巻を見守ってやる必要があるだろう。偉兵衛の父母は倅の放蕩を諫めるどころか、小巻が偉兵衛に何とか言ってくれと頼むと、おつななどは「悋気などして、みっともない。亭主をゆったりと見守るのも女房の心得」と逆に小巻を説教する始末だった。
―あなたが一々些末なことで騒ぎ立てたりするから、偉兵衛は余計に外に眼を向けるのですよ。
もし偉兵衛が心底小巻に惚れていて大切に思うのならば、もっと長い眼で小巻を見守ってやる必要があるだろう。偉兵衛の父母は倅の放蕩を諫めるどころか、小巻が偉兵衛に何とか言ってくれと頼むと、おつななどは「悋気などして、みっともない。亭主をゆったりと見守るのも女房の心得」と逆に小巻を説教する始末だった。
―あなたが一々些末なことで騒ぎ立てたりするから、偉兵衛は余計に外に眼を向けるのですよ。