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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第9章 第四話 【ほたる草】 一
 喜六郎は嘆息して、話を結んだ。お彩もまた、朝方見た小巻の暗い顔を思い出し、やるせない気持ちになった。女房の心、亭主知らず、ふとそんな言葉が脳裡をよぎる。
 小巻のためにできることがあればとは思ってみたものの、こと男女の仲は周囲の立ち入る余地はない。お彩と喜六郎の口からほぼ同時に溜め息が洩れた。
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