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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第10章 第三話 【ほたる草】 其の弐
嫌らしげな言葉が熱い息と共に耳朶をくすぐり、お彩は背中を冷たいものが走った。偉兵衛がなおもお彩の腕を強く引こうとしたその時、二人の真後ろに立った人影があった。
「さっきから聞いてりゃあ、ベラベラとよく喋る男だぜ。全っく耳障りな奴だな」
言葉が終わるか終わらないかの中に、ふいに現れた男の鉄拳が偉兵衛の顔面に炸裂した。
「畜生、何しやがる」
偉兵衛が吠えたが、男に再び強烈な一撃を浴びせられ、みっともなくも数歩よろめいたかと思うと、後ろに大の字に倒れ込んだ。
まだ恐怖に震えているお彩の身体がふわりと抱きしめられた。
「大丈夫か?」
魅惑的な声にハッと我に返り面を上げれば、そこにいたのは陽太―お彩が焦がれてやまぬ男(ひと)だった。
「さっきから聞いてりゃあ、ベラベラとよく喋る男だぜ。全っく耳障りな奴だな」
言葉が終わるか終わらないかの中に、ふいに現れた男の鉄拳が偉兵衛の顔面に炸裂した。
「畜生、何しやがる」
偉兵衛が吠えたが、男に再び強烈な一撃を浴びせられ、みっともなくも数歩よろめいたかと思うと、後ろに大の字に倒れ込んだ。
まだ恐怖に震えているお彩の身体がふわりと抱きしめられた。
「大丈夫か?」
魅惑的な声にハッと我に返り面を上げれば、そこにいたのは陽太―お彩が焦がれてやまぬ男(ひと)だった。