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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第10章 第三話 【ほたる草】 其の弐
「陽太さん」
お彩は恋しい男の名を呟くなり、その胸に頬を押しつけて泣きじゃくった。
「可哀想に、怖かったんだな」
陽太は労りのこもった声音で言うと、お彩の背をまるで幼子をあやすようにトントンと軽く叩く。
そう言えばと、お彩は男の逞しい腕に抱かれながら、改めて気付く。陽太と一緒にいる時、お彩はいつも泣いてばかりいる。
お彩もどちらかといえば小巻と同じで、勝ち気な性分ゆえ、普段から人前で泣くことはない。だが、自分にはこうして泣きたいときには好きなだけ泣ける場所がある。涙を見せられる人がいる。そのことは、どれほど幸せなことだろうかと改めて思ったのだ。
「私って、いつもあなたに逢ったら、泣いてばかり」
お彩が恥ずかしげに頬を染めると、陽太は微笑んだ。
お彩は恋しい男の名を呟くなり、その胸に頬を押しつけて泣きじゃくった。
「可哀想に、怖かったんだな」
陽太は労りのこもった声音で言うと、お彩の背をまるで幼子をあやすようにトントンと軽く叩く。
そう言えばと、お彩は男の逞しい腕に抱かれながら、改めて気付く。陽太と一緒にいる時、お彩はいつも泣いてばかりいる。
お彩もどちらかといえば小巻と同じで、勝ち気な性分ゆえ、普段から人前で泣くことはない。だが、自分にはこうして泣きたいときには好きなだけ泣ける場所がある。涙を見せられる人がいる。そのことは、どれほど幸せなことだろうかと改めて思ったのだ。
「私って、いつもあなたに逢ったら、泣いてばかり」
お彩が恥ずかしげに頬を染めると、陽太は微笑んだ。