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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第10章 第三話 【ほたる草】 其の弐
「構わねえよ。泣いてお前さんの気が済むのなら、泣きたいだけ泣けば良い」
陽太はそう言って、お彩の髪をくしゃくしゃと撫でた。これもまるで子どもにするような扱いだけれど、お彩は陽太にこうして頭を撫でられるのが好きだ。
「怖かった、もし陽太さんが助けてくれなかったら―」
お彩は言いかけて、絶句した。
かつて母お絹もお彩の実の父だという男に手込めにされたという哀しい過去があった。
好きでもない男に触れられるということがいかに辛いことか、お彩は偉兵衛に出合茶屋に連れ込まれそうになった、たったこれだけの出来事で容易に想像がついた。
もし陽太がこの場に現れなければ、今頃お彩はどうなっていたか、考えるだに怖ろしい。
改めて恐怖が湧き上がってきて、小刻みに身を震わせるお彩を陽太が引き寄せた。
「大丈夫だ、もう何も心配は要らねえ」
陽太はそう言って、お彩の髪をくしゃくしゃと撫でた。これもまるで子どもにするような扱いだけれど、お彩は陽太にこうして頭を撫でられるのが好きだ。
「怖かった、もし陽太さんが助けてくれなかったら―」
お彩は言いかけて、絶句した。
かつて母お絹もお彩の実の父だという男に手込めにされたという哀しい過去があった。
好きでもない男に触れられるということがいかに辛いことか、お彩は偉兵衛に出合茶屋に連れ込まれそうになった、たったこれだけの出来事で容易に想像がついた。
もし陽太がこの場に現れなければ、今頃お彩はどうなっていたか、考えるだに怖ろしい。
改めて恐怖が湧き上がってきて、小刻みに身を震わせるお彩を陽太が引き寄せた。
「大丈夫だ、もう何も心配は要らねえ」