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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第10章 第三話 【ほたる草】 其の弐
が、言いかけて陽太がふっと視線を逸らした。
「いや、何を馬鹿なことを言ってるんだろうな、私は」
陽太は小さく首を振ると、ふと思い出したように懐から何かを取り出した。
「これを貰ってくんねえかな」
お彩は大きな瞳を更に丸くして、陽太の大きな掌(たなごころ)の中を見つめた。手鞠を象った愛らしい簪が夏の陽を受けて一瞬光を放つ。
「お前さんのおとっつぁんの手になるものには、はるかに及ばねえだろうが」
ここでも陽太は口をつぐみ、手の中の簪をそっとお彩の髪に挿した。
「私に逢えない間は、これを身につけていて欲しい」
ひと息に言うと、陽太は眼を細めてお彩を見つめた。
「いや、何を馬鹿なことを言ってるんだろうな、私は」
陽太は小さく首を振ると、ふと思い出したように懐から何かを取り出した。
「これを貰ってくんねえかな」
お彩は大きな瞳を更に丸くして、陽太の大きな掌(たなごころ)の中を見つめた。手鞠を象った愛らしい簪が夏の陽を受けて一瞬光を放つ。
「お前さんのおとっつぁんの手になるものには、はるかに及ばねえだろうが」
ここでも陽太は口をつぐみ、手の中の簪をそっとお彩の髪に挿した。
「私に逢えない間は、これを身につけていて欲しい」
ひと息に言うと、陽太は眼を細めてお彩を見つめた。