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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第10章 第三話 【ほたる草】 其の弐
 本当に、いつも彼が今日のように明るい夏の陽差しのような笑顔でいてくれたら―、お彩はそう願わずにはおれなかった。
「じゃあ、私はここで」
 陽太が背を向ける。
 いつもどおりの呆気ないほどの別れの瞬間だった。
 たった今、陽太の広い胸に抱きしめられ、頬を預けていたのに、陽太はもうお彩の手の届かぬ遠い場所へ帰ってゆこうとしている。そこは、お彩の知らない別の世界で、陽太を待っている人々がいる。
 真剣に心から想い続けていれば、いつか必ず想いは通じる。
 そう信じてはいるけれど、お彩は時々、果たして本当にそんな風にうまくゆくのかと不安になる。
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