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第17章 第七話　【雪花】　其の弐

　次の瞬間、お彩は両肩を掴んで強く揺さぶられていた。
「私の顔を見なさい」
　だが、お彩は頑なに顔を背けたままだ。陽太が珍しく感情を露わにした。お彩のおとがいを掴むと、焦れたように乱暴に持ち上げた。
「私の顔を見るんだ」
　その大きな双眸に冴え冴えときらめく露の雫を見て、陽太が息を呑んだ。
「一体、何があったんだ？」
「何も―ありません」
　お彩は伏し目がちになりながら、消え入るような声で応えた。
「ただ、疲れただけ」
「疲れた？」
　陽太が茫然と問い返すのに、お彩は頷いた。