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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第19章 第八話  【椿の宿】
 それは市兵衛の心臓の音だった。こうなることをこれまでに何度も夢に見たはずであった。恋しい男の胸に抱かれる夢を―。なのに、心はしんと冷えて、淋しさと空しさだけが雪のように降り積もってゆくのは何故だろう?
―こんなに近くにいるのに、あなたの心はここに、私の傍にはないのは、どうして?
 お彩の眼から透明な雫が溢れ、頬をころがり落ちていった。市兵衛の手がなだめるように長襦袢越しにお彩のか細い背を撫でる。
 小さな出合茶屋の二階の一室は、ひっそりとした沈黙で満たされていた。床の間に飾られた花器は有田焼であろうか、無造作に投げげ込まれた真紅の椿一輪のなまめかしさがそのすっきりとした花器ゆえに際立っていた。
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