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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第21章 第九話 【夫婦鳥~めおとどり~】 其の壱
いや、これは何も逢いにきたわけではなく、この間、親切にしてくれた礼なのだと伊八は自分で自分に言い訳した。
この艶やかな女主人には美しいだけではない、どこか惹かれるような謎めいた雰囲気がある。それが彼女の人柄から来るものか何かは、まだ伊八には判らない。だが、それを知りたいと思う自分がいることもまた確かであった。一人の女にこれほど興味を持ったことはなかった。唯一、伊八がそのすべてを知りたいと願い、すべてを知ってもなお愛し抜いたのは、お絹だけであった。
伊八は、ありったけの勇気をかき集めた。
懐に手を突っ込むと、布きれに丁寧に包んだ簪を女主人の前に差し出した。
「これは俺が作ったんです。良かったら、使って貰えませんか」
この艶やかな女主人には美しいだけではない、どこか惹かれるような謎めいた雰囲気がある。それが彼女の人柄から来るものか何かは、まだ伊八には判らない。だが、それを知りたいと思う自分がいることもまた確かであった。一人の女にこれほど興味を持ったことはなかった。唯一、伊八がそのすべてを知りたいと願い、すべてを知ってもなお愛し抜いたのは、お絹だけであった。
伊八は、ありったけの勇気をかき集めた。
懐に手を突っ込むと、布きれに丁寧に包んだ簪を女主人の前に差し出した。
「これは俺が作ったんです。良かったら、使って貰えませんか」