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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第3章 第一話-其の参-
「こんな私でもおとっつぁんはまだ自分の娘だと思ってくれるでしょうか」
 いかにも不安げな口調になった。
 と、男がお彩を見た。
「当たり前じゃないか。自分の血を分けた、紛れもない娘なんだよ。親が自分の子を憎んだり嫌いになったりするようなことなんかありはしないんだよ。私には子どもがいないから絶対にそうだと言い切れるわけではないが、少なくとも、もし私が自分の娘から『好きだ』と言われたら、嬉しいね」
 お彩は恐る恐る訊いてみる。
「どんな意味でも?」
「ああ、惚れたと言われりゃあ、尚更嬉しい。娘が男として父親を意識し、その上男として好きなってくれるなんざぁ男冥利に尽きるじゃないか」
 男は満更冗談でもない様子で言う。
「手前の娘に惚れられる父親なんて、そうそういるもんじゃねえ。お前さんの親父さんは相当の良い男なんだろうよ」
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