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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第24章 第十話 【宵の花】 其の弐
部屋に入った途端、猛烈な吐き気がして、お彩はその場にくずおれた。突っ伏して烈しく咳き込んだが、吐き気は一向に治まらず、お彩は涙目になるまで咳き込み続けた。
ここのところ、お彩はしばしば、こんな症状に悩まされていた。胃が重く、突然、強い吐き気が襲ってくるのだ。そのため食も進まず、殆ど食事にも手を付けない状態が続いていた。
お彩はいつもこの部屋で一人、食事を摂るのが日課となっている。市兵衛がこの部屋で食事を摂ることはなかった。ゆえに市兵衛は女房のこの不調には気付いていない。
ただ一人、お彩の身の回りの世話をする女中のおみよだけがこのことを知っていた。
ここのところ、お彩はしばしば、こんな症状に悩まされていた。胃が重く、突然、強い吐き気が襲ってくるのだ。そのため食も進まず、殆ど食事にも手を付けない状態が続いていた。
お彩はいつもこの部屋で一人、食事を摂るのが日課となっている。市兵衛がこの部屋で食事を摂ることはなかった。ゆえに市兵衛は女房のこの不調には気付いていない。
ただ一人、お彩の身の回りの世話をする女中のおみよだけがこのことを知っていた。