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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第24章 第十話 【宵の花】 其の弐
お彩が嫁いだその日から、おみよはずっと近くにいて、何くれとなく助けてくれていた。当然、食事の際も傍に控えていて、給仕を務める。このおみよだけが京屋での唯一の味方であった。
おみよは先代市兵衛の末娘の乳母であったという。先代には四人の娘がいて、長女お市が当代の市兵衛の妻、次女、三女はそれぞれ同業の大店に嫁いでいる。その下に四女が生まれたのだが、生後半年を迎える時期に夭折したそうだ。この末娘は先代が四十のときにできた子で、長女のお市とは十四も離れていた。先代の内儀は、このおきくの出産が元で亡くなっている。そのせいもあってか、おきくと名付け、先代も十年ぶりに出来た末っ子を殊の外可愛がったというが、惜しくも早世してしまった。
おみよは先代市兵衛の末娘の乳母であったという。先代には四人の娘がいて、長女お市が当代の市兵衛の妻、次女、三女はそれぞれ同業の大店に嫁いでいる。その下に四女が生まれたのだが、生後半年を迎える時期に夭折したそうだ。この末娘は先代が四十のときにできた子で、長女のお市とは十四も離れていた。先代の内儀は、このおきくの出産が元で亡くなっている。そのせいもあってか、おきくと名付け、先代も十年ぶりに出来た末っ子を殊の外可愛がったというが、惜しくも早世してしまった。