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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第27章 第十一話 【螢ヶ原】 其の参
伊勢次が仕事から帰ってきたのは、それから四半刻ほど後のことである。その時、お彩は灯りもつけず、ずっと部屋の片隅にうずくまっていた。
「ただいま」
伊勢次のに声が聞こえても、お彩は身じろぎもせず、両膝を抱えて、その間に顔を伏せていた。
「お彩ちゃん、おーい、誰もいねえのか? 今、帰ったぜ」
真っ暗な家の中、伊勢次は手探りで入ってくると、行灯に火を入れた。
「あれッ、やっぱり、いたんだな。どうした、何かあったのか? こんなに暗くなっちまったってえいうのに、灯りもつけねえで」
「ただいま」
伊勢次のに声が聞こえても、お彩は身じろぎもせず、両膝を抱えて、その間に顔を伏せていた。
「お彩ちゃん、おーい、誰もいねえのか? 今、帰ったぜ」
真っ暗な家の中、伊勢次は手探りで入ってくると、行灯に火を入れた。
「あれッ、やっぱり、いたんだな。どうした、何かあったのか? こんなに暗くなっちまったってえいうのに、灯りもつけねえで」