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第27章 第十一話　【螢ヶ原】　　其の参　

　それだけの言葉で、伊勢次はすべてを理解し得た。
「そうか、言っちまったのか」
　流石に伊勢次も愕いているようであった。無理もない、伊勢次にしてみれば迷惑なだけだろう。だが、次の瞬間、伊勢次は思いもかけぬことを言った。
「そうか、言っちまったものは、もうどうしようもねえな。俺もこれから気張って働かねえと。何しろ、女房と子どもが一度にできちまったんだもの」
　伊勢次の声音には怒りは微塵もなく、存外に明るい。伊勢次が温かな笑顔を見せた。
「俺の嫁さんになってくれ、お彩ちゃん。これで三度めの告白だぜ」