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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第28章 第十一話 【螢ヶ原】 其の四
市兵衛にしろ、お彩にしろ、意図して身の回りにいる人を死に追い込もうとしたわけではないのに、結果として、そうなるような状況を作ってしまったのは確かだ。
そんな市兵衛とお彩がめぐり逢い、愛し合うことになってしまったのもまた、運命の皮肉だったのだろうか。それとも、その苛酷な運命こそが二人が生まれながらに背負った業なのだろうか。
伊勢次の野辺送りの日、もう再び市兵衛とあいまみえることだけはすまいと改めて思った。
伊勢次の死によって、お彩は、今度こそ伊勢次の〝妻〟となった。
お彩は、これから先も生まれてくる赤子の父親は伊勢次だと通すことにしている。赤ン坊は、伊勢次と自分の子だ。伊勢次が全力で守ってくれようとした、大切な伊勢次の子だ。
そんな市兵衛とお彩がめぐり逢い、愛し合うことになってしまったのもまた、運命の皮肉だったのだろうか。それとも、その苛酷な運命こそが二人が生まれながらに背負った業なのだろうか。
伊勢次の野辺送りの日、もう再び市兵衛とあいまみえることだけはすまいと改めて思った。
伊勢次の死によって、お彩は、今度こそ伊勢次の〝妻〟となった。
お彩は、これから先も生まれてくる赤子の父親は伊勢次だと通すことにしている。赤ン坊は、伊勢次と自分の子だ。伊勢次が全力で守ってくれようとした、大切な伊勢次の子だ。