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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第30章 第十二話 【花見月の別れ】 其の壱
それまでに、あんたが伊勢次とどんな拘わりがあったのかは知らないが、現に、その子が伊勢次の子だっていう何の証だってないんだよ。本音を言やあ、その赤ン坊を私は自分の孫とは認めたくないね」
依然として三和土に両手をついて、うなだれたままのお彩に、おきわが言った。
「いつまでこうしているつもりだえ。あんたがいくらそこで土下座をしようと、伊勢次が帰ってくるわけじゃない。何が天女だよ。見かけは虫も殺さないような殊勝げな顔して、あんたがしたことは、夜叉のような酷い仕打ちじゃないか。大方、伊勢次もあんたのその大人しげな外見にまんまと騙されたんだろう。正直、私はこれ以上、あんたの顔なんぞ見たくもないんだ。とっとと帰っとくれ」
依然として三和土に両手をついて、うなだれたままのお彩に、おきわが言った。
「いつまでこうしているつもりだえ。あんたがいくらそこで土下座をしようと、伊勢次が帰ってくるわけじゃない。何が天女だよ。見かけは虫も殺さないような殊勝げな顔して、あんたがしたことは、夜叉のような酷い仕打ちじゃないか。大方、伊勢次もあんたのその大人しげな外見にまんまと騙されたんだろう。正直、私はこれ以上、あんたの顔なんぞ見たくもないんだ。とっとと帰っとくれ」