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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第30章 第十二話 【花見月の別れ】 其の壱
お彩はハッとした。
「済みません、私ったら、気がつかなくて失礼しました」
が、予想外の出来事に相当な打撃を受けたらしいおきわは、烈しい咳を始めた。胸を押さえて、幾度も咳き込む。お彩は慌てておきわの傍に駆け寄った。背中に手を当てて、おきわの顔を覗き込むようにして訊ねる。
「大丈夫ですか」
おきわは先刻までの烈しさもどこへやら、胸をかきむしるような仕草さえ見せ、相当に苦しんでいるように見えた。
「申し訳ありません。私が来たばかりに」
本当に、おきわと伊勢次母子にとって、自分は厄病神のような存在なのかもしれない。お彩は咳き込むおきわを見ながら、哀しい想いに囚われた。
「済みません、私ったら、気がつかなくて失礼しました」
が、予想外の出来事に相当な打撃を受けたらしいおきわは、烈しい咳を始めた。胸を押さえて、幾度も咳き込む。お彩は慌てておきわの傍に駆け寄った。背中に手を当てて、おきわの顔を覗き込むようにして訊ねる。
「大丈夫ですか」
おきわは先刻までの烈しさもどこへやら、胸をかきむしるような仕草さえ見せ、相当に苦しんでいるように見えた。
「申し訳ありません。私が来たばかりに」
本当に、おきわと伊勢次母子にとって、自分は厄病神のような存在なのかもしれない。お彩は咳き込むおきわを見ながら、哀しい想いに囚われた。