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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第30章 第十二話 【花見月の別れ】 其の壱
「おきわさんがどうしても嫌だとおっしゃるのなら、無理にとは言いませんが、できれば、う少しここにいて、おきわさんの具合が良くなるまで傍にいさせて欲しいんです」
短い沈黙があった。当然ながら、お彩は、おきわが素直に申し出を受け容れてくれるとは考えてはいなかった。が、ややあって返ってきたのは、お彩自身、思いもかけぬ言葉であった。
「勝手におしよ」
「え―」
かえって拍子ぬけしたお彩に、おきわのどこか投げやりにも聞こえる声が響いた。
「ここにいたいのなら、勝手にすれば良い」
おきわは何故か、否とは言わなかった。
短い沈黙があった。当然ながら、お彩は、おきわが素直に申し出を受け容れてくれるとは考えてはいなかった。が、ややあって返ってきたのは、お彩自身、思いもかけぬ言葉であった。
「勝手におしよ」
「え―」
かえって拍子ぬけしたお彩に、おきわのどこか投げやりにも聞こえる声が響いた。
「ここにいたいのなら、勝手にすれば良い」
おきわは何故か、否とは言わなかった。