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Memory of Night 番外編
第1章 こたつでお仕置き

 晃は呆れたようにため息をついて、菊池だよ、と教えてくれる。そんな顔をされたって、明を今さら名字で呼ぶクラスメイトなんていないのだから仕方がない。
 誰に対してもフレンドリーで分け隔てのない接し方をする明は、クラスでは親しみやすい存在だった。
 宵は怪訝な顔で晃を見上げた。
 名前で呼べば親しげに話すなと不機嫌になられ、名字を忘れれば最低発言をされ、晃の怒るポイントは宵には理解できなかった。
 晃の手がようやく手首から離れる。晃はそのままコタツから抜け出し、立ち上がった。
 体を圧迫していた重みが消え、宵がほっと息をつく。そうして微妙に赤くなった手首をさすった。
 晃は一体何を怒っているのか。
 宵が晃の家を訪ねた時はいつも通りだった。むしろ上機嫌だったようにも思う。
 やや濃厚なスキンシップで出迎えられて和室に案内された時も、変わった様子はなかった。

(やっぱ居眠りしてたから?)

 それとも明とのことをあれこれ思い出して機嫌が悪くなったのだろうか。
 さっぱりわからない。
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