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Memory of Night 番外編
第4章 Episode of AKIRA
「別に普通だろ? 平日は制服だし、休みの日だっておまえと会うくらいしか出かけねーんだから。私服着る時なんてほとんどねーじゃん」
買う必要ないだろ? とたたみかけると、晃は右手の人差し指を宵の目前に立て、ちっちっちっと振ってみせた。
「週末に一回きりの大好きなカレシとの逢瀬。気合いを入れて精一杯のオシャレをするのが、乙女心ってもんだろう?」
至極真面目な顔で妙に熱のこもった力説をされて、宵は返答を詰まらせる。
「……まず女じゃねーし。毎日学校で会ってんじゃん。しょっちゅう泊まってるし」
事実を述べただけなのに、晃は呆れた顔で大仰にため息をつく。
歩くペースはそのままに、宵の顔を振り向いた。
「そこじゃなくてさ」
一瞬だけ何かを言いかけたようだったが、晃はそのまま口を閉ざしてしまった。
先を促す間もなく、再び宵の手を掴む。
「とりあえず買い物。オープンセールでどこの店もかなり安くなってるから、上から下までコーディネートしちゃいな」
ほら、と手を引かれ、立ち並ぶ店を見渡してはみるけれど。
ふとある疑問が鎌首をもたげた。