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Memory of Night 番外編
第4章 Episode of AKIRA

 あれは中学二年の冬。
 一つの転機が訪れた。
 その時付き合っていた子は同じ学校の後輩で、今までの子とは明らかに毛並みの違うタイプだった。
 自分からあまり意志表示をしないのだ。
 一歳後輩ということも理由の一つかもしれないが、もともと性格自体がおとなしい子だった。
 普段からあまり外出をせがんだりもしない子で、デートらしいデートもあまりした覚えがない。放課後たまに寄り道したり、月に一度映画に行く程度だった。誘うのもいつも晃からだ。
 例に漏れず、彼女にも恋愛感情は湧かなかった。
 それでも付き合った期間だけみれば、一番長く続いた子だ。理由はおそらく、二人の間に一定の距離があったから。
 今までは一方的に求められる恋愛ばかりだった。付き合った頃から好きだの愛してるだのと囁かれ、プリクラや行きたい場所をせがまれる。
 好意を寄せられるのは嬉しいことではあるけれど、自分の気持ちが冷めていく中では重荷になるだけ。思われれば思われるほど、煩わしさばかりがつのった。
 しかし、意志表示のない彼女には、そういうところがなかった。
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