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Memory of Night 番外編
第4章 Episode of AKIRA
そしてクリスマス当日。
人でごった返した遊園地を二人でまわった。
彼女はずっと伏せ目がちで、いつもと様子が違う。普段から口数は少ないけれど、しっかり目だけは合わせて話す子だった。
「どうかした?」
「ううん、なんでもない」
彼女は曖昧に微笑んで、晃を見つめる。
その日はずっと、晃の手を握りしめたまま離さなかった。
閉館時間ギリギリまで遊び、その足で、晃は彼女を近くの高台まで連れて行った。遊園地の隣にあるそこは、公園のような場所。塗装された階段を上った先にベンチと自販機があるだけの簡素な公園だったが、時間に縛りがないのでいつでも立ち入れるのだ。
そこから閉館直後の遊園地を覗けば、ライトアップされた園内が見られて綺麗だ。まだ六時前だったが、冬は暗くなるのも早かった。
晃は自販機で温かいココアを二本買い、夜景を眺める彼女のところへと急いだ。
用意しておいたクリスマスプレゼントも、ここで渡すつもりでいた。
錆びた手すりに両手を添えて、徐々に明かりが消えていく遊園地を眺めながら、晃の気配を感じ取った彼女はゆっくりと振り向いた。