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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
「明、家庭科室な」
ちゃんと行ってやれよという意味を込めて、彼女の居場所を忠告する大山。
そのまま大山は、自分を呼んだ子のところへ行くべく、教室の中央を振り返った。
だが、彼は歩きだそうとはしなかった。振り返ったまま、顔を硬直させている。
「……ん?」
動きを止めた大山を、宵は不審げに見上げた。
「あー……すまん、宵」
「…………は?」
やっちまった的な顔で片目をつぶる大山。
その表情の意味は、次に聞こえた声によってすぐに理解できた。
「――へー。『男子何人かで買い出し』……ねぇ」
地を這うような低い、女生徒の声。確かめるまでもなく明のものだった。
セリフ的にも。
「いや、だからそれは……」
「ちょっとどいて」
しどろもどろになる大山を押しのけ、明は宵の姿を視認する。
教壇によりかかり、座ったままの宵の目前に立った。
(うわ、タイミング悪……)
心の内で、思わずつぶやいてしまう。
せっかく文化祭前日(きょう)まで、どうにか捕まらずにやり過ごすことができたのに。今日をしのげば少なくともメイド服の試着は免れたかもしれないのに。