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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
舌打ちしたい衝動を必死に抑え、宵も明を見上げた。
やや茶色がかったセミロングの髪はわずかにウエーブがかかっていて、明の顔をより小顔に見せていた。女子にしては高めの身長と、高校生にしては大人びた声も彼女の特徴の一つである。
明は軽く髪をかきあげ、宵をにらみつけた。髪と同じくうっすら茶っ気のあるアーモンド形の瞳は、普段から少しきつく感じることがあるけれど、今日はいつも以上に眼光が鋭く感じられる。単純に怒っているせいもあるのだろうが、目の下の隈のせいでもあるのかもしれない。
明は拳をきつく握りしめ、わなわなと小刻みに震わせながら、言った。
「やっと見つけた! どーしてあんたは毎日毎日そうやって逃げんのよ! 人がどんだけ必死こいて探しまわったと……」
どうしてと言われても、そんなの、メイド服を着るのが嫌だからに決まっている。
宵は思ったが口には出さなかった。いつになくヒステリックな明に言っても、火に油を注ぐようなものだ。
だが、明はそこで言葉を切り、ふいに拳をほどいた。
さらに声を低くして、告げる。
「いいわ。そっちが協力してくれないなら、こっちにも考えがある」