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Memory of Night 番外編
第1章 こたつでお仕置き
「――え? あのメモ、明ちゃんのじゃないの?」
行為が終わって数分後。
きょとんと瞳を見開いて、間の抜けた声でそう問いかけてくる晃に、宵はどこから突っ込めばいいのかわからなくなった。
座布団の上にだらしなく四肢を投げ出し、げんなりした顔で晃を一瞥する。
服は不自然に捲れ上がったままで露出した腹の辺りが冷たいけれど、直す気にもなれなかった。
体がのぼせ上がっているようで、熱い。達した後の倦怠感に全身を支配されながら、荒い呼吸をどうにか整え宵はようやく口を開いた。
「……だ―か―ら、誤解だって何度も言ったじゃねーか」
その声にはいつものようなすごみはない。疲れきった様子でそうつぶやき、宵は右手を伸ばしてコタツの上のメモ用紙を手に取った。
ピンク色の紙を晃に見せつつ、続ける。
「これは数学の先生に貰ったヤツだよ。俺、十日近く入院してただろ? その分の単元だけやんなくていいって言われてこのメモ貰った。他のヤツより少し範囲がせめーから、間違わないようにって」
問題集の範囲は、担当の教員に口頭とプリントで指定される。宵のクラスもその例外ではなかった。