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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
試着の段階であれほど嫌がっていたのだから、人が多いところになど行かないだろう。同じ理由で、出店が並ぶ校庭や人の出入りが激しい場所も避けそうな気がする。
南風(なんぷう)高校の校舎は、クラス棟と音楽室や家庭科室などの特別教室がある校舎、部活で使う部屋などが多い校舎に別れている。それぞれ渡り廊下を通じて行き来ができるようになっているが、もう一つ、渡り廊下で繋がっていない、旧校舎と呼ばれる校舎があった。
名前の通り昔クラス棟として使われていた校舎で、今は余った机や椅子や諸々の備品を置く物置としてしか機能していない。取り壊してしまえばいいのに、と大山は常々思っていた。
今回の文化祭でも使われていないため、人気(ひとけ)はないだろう。身を隠す場所としては最適なはずだ。
宵はおそらく、そこにいる。大山はそう見当をつけた。
(よし、あいつを捕まえて、温泉旅行ゲットだ!)
大山が卑しく口元を歪める。
そうしてこっそりと、旧校舎に向かって歩き出した。