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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
同時にメイドの背に向けてそう叫んだ。
細身の肩が、ぴくりと反応する。
大山はニヤリと口角を吊り上げた。ドアをピシャリと閉めて、自分自身の体で出入口を塞ぐ。
やはりここは普通のクラスだった教室のようだ。前には黒板や教卓があるし、生徒たちが使っていたであろう机と椅子も、かなり乱雑ではあるが並べられていた。
教室の後ろにもドアはある。けれど、宵が立っているのは黒板よりの前の窓際だし、後ろのドアからは遠い。万が一後ろから逃げようとしても、今の大山の立ち位置からなら捕まえられるだろう。
袋のねずみ状態なわけだ。
意外にもあっけなく温泉旅行が手に入りそうな気がして拍子抜けしつつも、大山は身構え、一歩宵へと近づく。
その時だった。
ずっと背を向けて立っていた宵が、ゆっくりと振り向いた。
窓から差し込む微かな陽の光のせいで、赤みを帯びた茶髪がなびく。
「え……」
メイドの顔を視界に捉え、大山はぽかんと口を開けたままマヌケな声を洩らした。
「宵……だよな?」
無意識のうちにつぶやいていた。
メイド姿のそれが、あまりに美少女だったから。