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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
男が来るまで時間はある。その間に逃げてしまう手もあるが、途中で鉢合わせしてしまっては面倒だし、逃げても次に行く場所がない。
そうするとこの部屋に残り、むしろ待ち構える気持ちで鬼を迎え撃つ他ない。
予想に反して、ここまでたどり着くの早かった。
思考を巡らし始めて数分。
――足音が聞こえ始めたのだ。
(まさか、バレちまってんのかな。俺がこの教室にいること)
大山の時はおびきよせるため、わざと服の一部や髪を見せたりしたが、今回はきちんと隠れていたつもりだったのに。
だが、バレていようがなかろうが、それ自体は大した問題でもない。ようは手錠を嵌め、名札を盗ってしまえばいいだけの話なのだから。
相手が男なら、多少の強行手段は許されるだろう。
宵は身構えた。足音が徐々に徐々に大きくなる。
教室のドアがわずかでも開いたらそのまま襲いかかろうと、持っていた手錠に力をこめた。
そして、足音がぴたりと止まる。ほんの数秒間が空いて、直後だった。
ガラガラと立てつけのない音を響かせて、ドアが開く。