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Memory of Night 番外編
第1章 こたつでお仕置き
「勉強道具は?」
歩き出そうとする晃に宵が問いかける。
「また帰り際に取りにくれば平気」
悪びれもなく、晃は言った。
どうやら本格的に勉強する気は皆無らしい。
そのくせ『お仕置きセット』と称した腰紐や数枚のタオルなどはちゃっかり持っているのだから、晃の目的は目に見えていた。
「……ドS」
「お、ドがついた。前からサドとは言われてたけど。昇格したな」
「……昇格って言わねーし」
一応悪口のつもりなのに得意げな顔をされて、宵はもう悪態をつく気も削がれてしまった。
晃が歩き出す。部屋を出て襖を閉め、三階の自室へと向かうべく階段を上り始めた。
もう逃げられないだろうということはわかっているけれど、このまま晃の好きにされるのは悔しい。
何かやり返せないかと考えているうちに、晃は階段を上り終えてしまった。
宵を抱いたままでも晃の歩くペースが落ちないのが、なんだか晃の体力のバロメーターを表している気がして恐ろしかった。
そのまままた歩き出す晃の首に両腕を絡め、宵は晃の首筋に顔を埋めた。ちょっとした仕返しを思いついたのだ。
「……ん?」
宵の不審な行動に気付いて、晃が足を止める。