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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
そんな明に対して宵が言ったのは一言。
「手錠、貸して」
「…………は?」
予想外の要求に、明はぽかんとする。
「余ってねぇの?」
「いや、あるにはあるけど」
「何個?」
「えっと……一個?」
「……一個かよ」
宵は肩を落として舌打ち混じりのため息をついた。
「そんなに大量にあるわけないでしょ、あんなの。この鬼ごっこ以外に使わないし。そういえば、一個持ってんじゃないの?」
「あるけど一個じゃ足んねーの。強敵なんだよあいつは!」
「……あいつ? あいつって?」
首を傾げる明をよそに、宵は頭を抱え始めてしまう。
明にはもうちちんぷんかんぷんだ。
「だいたい、俺だけ武器なしっておかしいだろ、十人相手にひたすら逃げまわれって、無謀にもほとがあるんだよ」
そう言いながら不機嫌そうに睨まれ、明は曖昧に笑ってみせるしかない。今の状況でそんな苦情をぶつけてくる時点で微妙に八つ当たりじみていたが、一応正論だからだ。
「いや、えーと……宵なら行けるかなーって。ほら、運動神経いいじゃん」
「運動神経云々の問題じゃねえ! 三時間ぶっ続けで校庭走らすぞてめぇっ」
「し、死ぬって!」