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Memory of Night 番外編
第3章 熱々、バレンタインデー!
「――で? 結局全部返してきちゃったの? チョコ」
「……うん」
宵が微妙な顔で頷くと、途端に晃は吹き出した。堪えきれないとでも言った様子で、腹を抱えて笑い出す。
怒涛のバレンタインデー、放課後。
二人は晃の家に向かって下校していた。
どうやら今日一日の宵にとっての苦労話が、晃の笑いのツボに綺麗にヒットしてしまったらしい。
人通りの多い大通りに、晃の笑い声がこだましている。
華やかなイルミネーションが施されたその通りは、いつもよりも多くの恋人たちで溢れかえっていた。甘い雰囲気を漂わせて腕を組み歩くカップルがこれほどまでに多いのは、おそらくバレンタイン効果だろう。
そんな中を晃と二人で歩くのは、宵にしてみればなんとなく気恥ずかしかった。
晃は気にしていないのか、いつも通りの穏やかな調子で会話を続けている。
「君らしいっていえば君らしいけど。宵ってわりと律儀だよな、そういうの」
言いながら、晃はまだくすくすと笑っている。
「……悪かったな、無駄に律儀で」
「いや、全然悪くはないよ。ただおもしろいだけ」