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第1章 プロローグ

真麻は平凡を絵に描いたような女だった。

中流家庭で育ち、そこそこ悩みもあるものの中の良い友達に囲まれ、これといったトラブルのないまま地元の中学校、高校、大学と進んできた。

高校時代に一年間付き合っていた彼氏とは大学に入ってしばらくして別れた。特にケンカがあったわけでもない。お互い疎遠になっていたので、自然消滅するよりは真麻から別れを告げた。

特にこれといって不満はないが、かといって満足しているわけでもなく、時折刺激が欲しいという欲求に駆られていた。

出会い系を使った時も、出会うことが目的というよりはそれがどんなものであるのか非日常感を体験したかったからに他ならない。

しかし、手軽にメールで寂しさを紛らわすことができるその行為に、真麻はどんどんのめり込んでいった。

だからといってメールでしかやりとりをしたこともない、顔も知らぬ相手と出会う気はなかった。他愛のないメールを楽しみ、相手の男性がしつこく会いたいと迫るようならメールを無視して次の暇つぶしの相手を探せば良い。真麻はそう考えていた。