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あいの向こう側
第20章 影
バイトは休みだ。


こっちに戻ってから、
割のいい引っ越し屋バイトを始めた。


筋肉だけは増えた気がする。



『_____4時かぁ…………』
スマホを見るとまだ4時だ。


スタバもなければユニクロすらない、
ド田舎。

当然気晴らしの場所もない。



俺は民家と田畑を潜り抜け、
海沿いに出た。


田舎町で唯一良いところを挙げるとすれば、
凪いだ海。


観光客はない、寂れた海だ。

そのぶん静か。



俺は海沿いに歩き、
テトラポットに飛び移った。


一人になりたかった。

妹(17歳、高校2年)には小馬鹿にされるし、
父親は役場勤めの根っからの公務員でお堅い。




テトラポットをひょいひょい歩く。

平らなコンクリート部分に移り、
寝転んだ。


『エロサイトでも見よ………』


気晴らしには一番いい。


人はいないし、
海は優しい。



音をOFFにしてサイトを見る。


黒髪の清楚な女の子が、
太ったオッサンの上に乗り腰を振っている。


『うわー。
ロリ趣味?』
声がして、
俺はガバッと起き上がった。








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