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あいの向こう側
第25章 すきまかぜ
ビシィッ。
しなるムチは、柔らかく伝う蛇のようだ。



『ああっ!!あうっ…………はぁ、はぁ、………』

男が赤い傷に眉をしかめ、
全裸でのたうち回っていた。


コンクリートはさぞ冷たいことだろう。


11月だ。
冬は直ぐそこまで足音を忍ばせている。


私は大仰な黒い仮面を直し、
『そのくらいで痛いの?
まだまだ坊やね』
と15も年上のオヤジを見下ろして言い放つ。


ボンテージに、ガーターベルト。薄い外套を羽織っている。
赤いヒール。
昔の洋画に出てきそうな仮面を被り、
黒い長髪を靡かせて腰に手を置く。




『はぁ、はあっ………じょ、女王様ぁ………』

男の根が立っている。


小さく細いそれは、丸で幼児の根のように心許ない。



『フン…………
ココをこんなにさせて…………!!
だらしないブタだこと!!』
私は精一杯の憎しみを込めて怒鳴る。
根をヒールの先でつついてやる。





男は額に張りついた髪に、
ズレたメガネを付けたまま『あっ、あっあ~~~』
と情けない喘ぎ声を出す。




『どうして欲しいの?
口があるでしょう?
ああ、ブタだからブヒブヒ啼くしかできないのかしら』


言いながら再度根をつついてやると、
『あーーーーー!!!』と絶叫して白濁液を出してしまった。




____つまらないわ。


もっと、泣き喚けばいいのに。


私は鼻白みながらも【出したら終わり】という契約を忠実に守った。




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