この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あいの向こう側
第27章 夕暮れに
(まただ。)
夕真(ゆま)は制服のミニスカートから伸びた脚を止めた。
♪~~♪~~♪♪~~
どこからかともなく、
メロディーが流れてくる。
二学期からこの街に引っ越してきたばかりの夕真には、
夕暮れ時に町内に向かって流れるメロディーに未だ慣れない。
空を見上げた。
(うわ-、明るい………)
夕方5時。
海に近いこの都市は、夕暮れ時になっても比較的明るい。
そのことに最近気づいた。
(ママ、帰ってるかなぁ……)
看護師をしているママは今日は日勤のはず。
夕真は、
(馴染み難い街そのものに自分の肉体が浮遊しているみたいだ)と思った。
_____新しい学校は、
女子高校だ。
前の学校は田舎にあって、
中学も3つくらいしかなく皆が皆その高校に進学する。
父親と離婚で揉めていた母が、
やっと親権を取り移住した。
『別に良いんだけどね…』
誰にも聞かれぬよう、ちいさく呟いた。
小さい頃から、
家の中は落ち着かない場所だった。
大きなケンカでもしてくれたら、その方がよかったかもしれない。
父と母は他人行儀で、仮面夫婦だった。
だから離婚が決まった時にはホッとした。
ああもう息苦しい場所じゃなくなる、と……………
赤く焼けた空をぼんやり見ていたら、
携帯が鳴った。
節約のためだとかでガラケーしか買ってくれていない。
が、心が弾んだ。
『もしぃ?』
嬉しさを抑えて素っ気なく出る。
『怠そうだな(笑)
帰り?今』
電話の向こうで笑っているのは、
前の学校で親しかった成田悠聖(なりたゆうせい)。
夕真(ゆま)は制服のミニスカートから伸びた脚を止めた。
♪~~♪~~♪♪~~
どこからかともなく、
メロディーが流れてくる。
二学期からこの街に引っ越してきたばかりの夕真には、
夕暮れ時に町内に向かって流れるメロディーに未だ慣れない。
空を見上げた。
(うわ-、明るい………)
夕方5時。
海に近いこの都市は、夕暮れ時になっても比較的明るい。
そのことに最近気づいた。
(ママ、帰ってるかなぁ……)
看護師をしているママは今日は日勤のはず。
夕真は、
(馴染み難い街そのものに自分の肉体が浮遊しているみたいだ)と思った。
_____新しい学校は、
女子高校だ。
前の学校は田舎にあって、
中学も3つくらいしかなく皆が皆その高校に進学する。
父親と離婚で揉めていた母が、
やっと親権を取り移住した。
『別に良いんだけどね…』
誰にも聞かれぬよう、ちいさく呟いた。
小さい頃から、
家の中は落ち着かない場所だった。
大きなケンカでもしてくれたら、その方がよかったかもしれない。
父と母は他人行儀で、仮面夫婦だった。
だから離婚が決まった時にはホッとした。
ああもう息苦しい場所じゃなくなる、と……………
赤く焼けた空をぼんやり見ていたら、
携帯が鳴った。
節約のためだとかでガラケーしか買ってくれていない。
が、心が弾んだ。
『もしぃ?』
嬉しさを抑えて素っ気なく出る。
『怠そうだな(笑)
帰り?今』
電話の向こうで笑っているのは、
前の学校で親しかった成田悠聖(なりたゆうせい)。