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あいの向こう側
第4章 あの日の続き
短く刈った髪。
ひょろりと高い背。
ゴツゴツした体躯………


奈美は就職してからは少し茶髪にし、
もちろんメイクも覚えてお洒落も楽しんでいた。



胃に腫瘍が出来てから、

もともとやせ型だった体は更に7㎏も減少した。



性格まで荒んでしまったのだろうか。


『…………これ、
見舞いに……』
ミニブーケだ。
祐二が差し出す。


『……ありがとう……
なんて花?
小さくて可愛い…』


『………えーと、
何だったっけ……
えーとね………』
祐二はごそごそとポケットを探り、
小さな紙切れを取り出して『ポピー、
って花だって……
花見てれば元気になるかなと思って』
と俯く。


『あらー?
ユウくん?
来てくれたのー?』
母親が顔を出し、
祐二は『お邪魔してます』と頭を下げた。


母親と雑談が始まり、
居間から玄関へと2人は移動して行った。


奈美は自室に戻った。
ミニブーケを机上に置いて、
ベッドに潜り込む。
白い錠剤を7粒飲む。

(薬飲むの、
嫌になってきた………)


医師の話では、
切除した悪性部分の抗菌剤らしいのだが。


どうも不調で、
こちらの県立病院にて検査をする予定がある。
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