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あいの向こう側
第4章 あの日の続き
かさついた祐二の唇が、
触れる。


一度。
……二度。

啄むように重ね、
次第に唾液を交換していく。


祐二が奈美の体をまさぐる。

息が熱くなる。

『………祐二…………』


『奈美、
あの時はごめん』


そう言いながら、
祐二はあの社務所でしたように奈美の脚の付け根を撫でた。

ジーンズの上から、
指先で捏ねる。


奈美は荒くなった息をそのままに、
自らパーカーとTシャツを脱いだ。

祐二がかぶりつくように、痩せ細った奈美の肢体に唇を落とす。
舐める。
食むように咬む。



――――そうだ、
と奈美は思う。

もしも、もしも私が手術をしても死んじゃうなら…………

毎日こうして祐二に抱かれよう。
無骨な、
変わっていない祐二。
恋愛感情などあるはずもない。


奈美はジーンズを脱ぐ。

狭い車内のなかで、
2人の息だけが交錯する。


奈美は祐二の肉体を感じていたかった。


そうすれば、
行き場のない不安もどこかに消えていく気がして………………………
奈美は目を閉じて快楽へと沈んでいった。











〔終〕


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