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桜舞うあの日のままで
第9章 最後の夜、想い出の夜
 すぐに重い口調で呟くように言う悠。

「いよいよ、明日の朝、出発だ」

「お見送りするからね」

 風香はもう泣きそうになってくる。

 にじみ出てきそうな涙を、風香は懸命にこらえた。

 しかし、泣きそうな様子は、悠にもバレバレだったようで、悠がしみじみと言う。

「俺も寂しい。なんだかんだで、俺にとって異性の友達は、風香だけだったからな」

 この言葉が過去形だということ、たったそれだけでも、風香の胸は痛む。

 あさって以降は、悠と会うことすら容易ではなくなると思うと、風香は胸がつまって上手く言葉が出てこなかった。




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