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桜舞うあの日のままで
第9章 最後の夜、想い出の夜
 その空気に耐え切れなくなった様子の悠が、おどけた調子で言う。

「大学の夏休みは長いらしいし、また戻ってくるって。でも、それまでがけっこう長いから……今から最後にエッチしとくか?」

「え?!」

 目を見開いて驚く風香。

 今までに二度、肌を合わせた二人だったが、最初のときは「勝負の約束だから」、二度目は「彼女と別れた悠を慰めるため」と、どちらも理由があった。

 ところが、今回は明確な理由もないのに悠が提案してきたので、風香が驚くのも当然だろう。




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