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桜舞うあの日のままで
第9章 最後の夜、想い出の夜
 服を着終わったあと、二人はたわいもない雑談をすることに。

 会話が途切れたとき、ふと悠が立ち上がる。

 そして北側の大きな窓の方へ近づいていき、手招きして風香を呼んだ。



 不思議に思った風香が近づいていくと、悠は黙って窓の外を指差す。

 悠が指し示す先には、見慣れた大きな桜の木があった。

 既に、花を満開に咲かせている木が。

 辺りはすっかり夜の闇に包まれてはいたが、街灯や民家の明かりが、その木に少しだけ光を投げかけている。

 たった1本だけとはいえ、見事な夜桜だ。

 悠が言った。




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