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桜舞うあの日のままで
第15章 悠の帰郷
 悠は困ったような表情になって頭を掻いて言った。

「ごめん。俺、好きな子がいるんだ」

 これを聞いた真奈美は、スッと大きく深呼吸をすると目を閉じる。

 それから、苦笑を浮かべて言った。

「それなら、仕方ないね……。でも、諦められないから、しばらく好きでいてもいい?」

 返答に窮した様子の悠は、真奈美を見つめて逆に質問を返す。

「真奈美、そんなに俺の事を好きになってくれたのか?」

「うん、もちろん。そうじゃなきゃ、こんなに早く帰省しないでしょ。暇なときでも、悠のことを想えば、退屈せずに済むから」

「そっか、ありがとう。俺は以前に一度だけ、彼女ができたことがあるんだけど……。その子には俺の方から告白したから……真奈美が言ってくれてるようなことを言われたの、俺にとっては初めてだ。せっかく告白してくれたのに……ごめん」

「謝らなくてもいいよ。私が一方的に片思いしてるだけだから。……ちなみに、答えたくなかったら、答えなくてもいいんだけど……悠の好きな子って、私の知ってる子?」

「いや、真奈美の知らない子だ。俺の幼なじみで、高校まで一緒だった子だから。その子は、この街の大学に通うことになって、離れ離れになってしまった」




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