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冷たい月を抱く蝶
第2章 温かい手のひら
それは雪が降った日だった。雪が降る中、幼い私は行く当てもなく街をさ迷い歩いた。
はじめに私を引き取った両親は、私を置いてどこか遠くの国に行ってしまった。
両親には子供がなく。私はその家の玄関の前に、赤ちゃんカゴに入ったまま捨てられていたと聞かされた。
両親に名前を貰ったのが「京子」。私を育ててくれた両親は同じ日本人だった。
でも、両親はもういない。きっと私を置いて日本に帰ったのかも知れない。
私は5歳の頃、両親に捨てられるとイギリスのスラム街で孤児として半年間。街をさ迷いながら生きてきた。大人は誰も、私を助けてはくれなかった。ただ私の黒髪が珍しいのか、私はその中でも目立つ存在だった。
親に捨てられた半年間は食べる物に困った。毎日お腹が空いて、ひもじい思いをした。
だから生ゴミをあさって、それを糧にして空腹をしのいだ。そして毎日、私を捨てた両親のことを恨んだ。
あの時こそ地獄のような毎日だった。街を一人で歩いてれば、変な大人に声をかけられて、追いかけられたりもした。