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冷たい月を抱く蝶
第2章 温かい手のひら


 ある日、私は孤児院の人に拾われた。そしてそのまま、孤児院へと入った。

孤児院に入ってからは、ひもじい思いをすることもなくなった。

綺麗な洋服を与えられた時は、私は感激して泣いてしまった。

そして、あのスラム街での生活から抜け出せたことに、私は心から感謝をした。

そこで一年間、他の子供達と一緒に生活をした。
みんな親に捨てられた子供達ばかりだった。
だから自然と彼らと打ち解けた。

みんなと仲良くなかった頃、院長先生が私の里親を見つけてくれた。

その人はイギリス人の両親で、子供が欲しいと言う理由から、私は彼らに引き取られた。そして彼らとの新たな生活が始まった。

はじめは両親は私に優しかった。そして、名前もつけてくれた。その時の名前が「巴」。きっと私が日本人だから、日本人らしい名前をつけてくれたんだと思う。 私は両親の子供として、一年間は幸せな毎日を過ごした。

――でも、両親に子供ができてからは、私への愛は急になくなった。

優しかった両親は、何かにつけて私を虐待した。
ひどいときは鞭で叩かれた。
そして食事も粗末な物が与えられた。

どんなに毎日が辛くても、私は両親が前みたいに、
優しかった両親に戻ってくれることを信じて我慢した。


 でも、その願いは結局かなわなかった――。



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