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冷たい月を抱く蝶
第2章 温かい手のひら

「いないの……!」
「私、一人ぼっちなの……!」
「私にはお父さんもお母さんもいないの……!」
「私ずっと、一人ぼっちなのっ……!」
「もう一人ぼっちは嫌っ!!」
「お願い……!」
「誰でもいいから私を愛して……!」
「私を一人にしないで……!」
「置いていかないで……!」
「良い子にするから捨てないでぇっ!!」
今まで溜まっていた気持ちが爆発すると、感情を剥き出したまま、見知らぬ男の人の前で泣いてすがった。
そこに救いを求めるかのように、私はその人の腕の中で大声を出して泣いた。
するとその人は何も言わずに私の頭を優しく撫でて抱き締めてくれた。
その暖かい腕の中で私は涙を流した。

